ダイズ・ダイアリー [Dai's Diary]

ダイズ・ダイアリーでは、何気ない日常とサイエンスのコラボレーション、英語記事、様々な社会問題に関して、筆者なりに論じています。大豆は畑の肉と言われるように、人間の血となり肉となります。ダイズ・ダイアリーも、あなたの知となり肉となれるようなブログを目指します。

【付加価値の心理学】安ければ良いってものじゃない?

ダイズダイアリーからこんにちは。

ダイスケです。

 

最近、昼夜の寒暖差がますます大きくなってきましたね。それと関係あるか分からないけど、今年カメムシめっちゃいませんか?(笑)気のせいか。

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今回は、"安ければ安い方が良い"といった考え方に、警鐘を鳴らした記事となっております。牛丼店の吉野家でも、

うまい、やすい、はやい

というキャッチフレーズを掲げていますが、第一に"うまい"が、次いで"やすい"が来ているのに注目です1)。いつから始まったのか分かりませんが、"安ければ安い程良い"みたいな価値観が蔓延することで、企業間の"価格競争"というものが生まれました。

 

もちろん、、そこで差別化が図られたりすることで、品質の向上に繋がったりする恩恵もあります。しかし、今回のブログではあえてその視点から離れて、"付加価値の恩恵"について考えてみたいと思います。

それでは今回も、Let's Go~!!

 高い値段の裏側~安ければ良いってものじゃない~

まずは、付加価値について考えさせられたエピソードについてお話します。

先日、私は父親の知り合いがカットをしているヘアサロンに行ってきました。ここ最近は、そこで散髪をしてます。もちろん、"ヘアサロン"という私にはおしゃれすぎる空間なだけあって、1000円カットより値が張ります。

まー"ヘアサロン"と称して500円カットとかしてたら怖いけどね。

 

そこでヘアカットしてもらうお兄さんとは、いつも色々なお話をします。例えば、

  • このヘアサロンでは従業員の距離感は近いか遠いか
  • 近すぎず、遠すぎずの関係を維持するために行っていることは
  • 散髪に対する考え、散髪哲学

などです。もちろん、1000円カットに行っていた時もあったのですが、やはり何かが違うんです。カット後の決まり方は全然違うんですが、それ以外にも空間・サービスが違うんですね。(セットの方法とかテクニックは教えてくれるのですが、ここで言って良いものか分からないので控えておきます。)

 

そこで、ズバリ聞いてみました。

1000円カットとここでのカット、一言で表現すると何が違うんですか?

この質問、たまにされるようです。すかさず即答

1000円カットは髪を切る作業なのに対して、ここでのカットは髪を切るという創造・デザインをしている

かっちょいい~!!!!と思ってしまいましたね。この言葉を聞いてから、私のヘアスタイルは作品・美術品に仲間入りしたも同然なのです。値段の裏には、こういった思いが隠されていたんだと。

もちろん、決して安くはないお店全てがこのような"素晴らしい哲学"を持っているとも限りませんし、1000円カットでも"散髪哲学"を持っている方々が多数いると思います。

ここからは独り言ですが、、

  • 前者の場合は資本主義経済の波に呑まれ
  • 後者は根強く持続的な経営が可能

であると思います。そのような精神的差異が、行動に大きな変化を与えているからです。考えていることは、髪を切る、シャンプーをするその手から、しっかりと伝わっていきます。

私は、今までの短い人生を通して、以上のような経験をいっぱいしてきました。

だから、自分が価値を感じるものにしか時間・お金を費やしたくないし、価値を感じたら即決します。仮に、直ぐに手には入らないものでも、行動を起こします。

問題は、"自分の価値観に即した消費をしているか"ということに帰結します。

 心理会計から考える

 心理学には、行動ライフサイクル仮説というものが存在します。我々は、

金銭を消費する対象に応じて別個の口座を有している

というものです2)。この別個の口座のことを、メンタル・アカウンティング(心理会計)と呼びます。イメージとしては、、、

  • 駄菓子に1000円払うのは高すぎる
  • 洋服に1000円しか払わないのは安すぎる

といった具合。対象物に応じて、心理会計の元が異なるので、お金に対する感覚が変化するのです。上記の例の場合だと、1000円という払うお金は一定ですが、それに対する金銭感覚は変化する訳です。ここで、語弊を恐れずに言うのであれば

"高い・安い"とは絶対的なものではなく、あくまでも主観的な心の働きである

と言えますね。そうです。その人の価値観に大きく依存しているんです。

 

ここから議論を発展させてみます。仮に、自分は高級品だととらえている"A"という"モノ"ないし"サービス"があったとします。しかし、ある日、"A"の裏側に隠された思いや真の効用を発見したとすると、その人にとってそれはもう"高い"Aではなくて値段相応の"A"なのです。

 

この様に、自分の価値観にはそぐわないと考えているものは、

  • 自身の価値観を広げてくれる
  • 考え方次第で、価値を創造できることを教えてくれる

といった恩恵をもたらします。ここで、一番最初にお話した"安さこそ正義"という議論について。この価値観が蔓延してしまうことは、すなわち考え方の画一化が起こってしまい、つまらない世の中になってしまうと思いませんか??

 

これは、消費者である我々だけではなく、企業側にも言えることだと思います。

"カスタマーマイオピア"という言葉が存在します。カスタマーマイオピアとは、、

顧客の言動などに自社のサプライを全て合わせる

ということです3)

これは、"顧客のニーズ"に合わせると言っても良いかもしれません。基本中の基本の考え方ですね。でも、これだけでは今の日本のように単純な価値観に染まった文化が形成されてしまう。

カスタマーマイオピアから脱却するためには、例に出した散髪哲学のような

他には無い自分だけの価値観・信念を持ち経済活動をする

ことが、新たな市場の創出ないし価値観の多様化に繋がるのです。まねっこだけではつまらないし、Apple社のようなクリエイティブな集団には到底なれないですね。

 

結局、自分は今何がやりたいのか考えることが大切であるということですね。

自分のその気持ちが種となり、信念となり、哲学となり、やがてクリエイティブなサービスに繋がると、私は信じて疑いません。

 おわりに

今回のブログでは、"安さこそ正義"という価値観に一石を投じてみました。とはいえども、"高価なものに隠された意味"を理解するのと"購入して恩恵を享受する"のは全く別次元のお話。特に、私のような学生の身分だとなおさらです。


なので、私と同じ学生さんには、今回のブログでのお話を次のように生かしてもらえれば嬉しいです。

  • "この商品・サービスってめちゃめちゃ高くね?"という発見をする
  • 同じ種類の商品・サービスで、発見したものより安いものを探す
  • 両者の比較をすることで、値段の裏に隠された付加価値を考えてみる
  • 自分の挑戦やもっている事業に応用してみる

高い買い物をして、"お金が無くなっちゃったな~"ではなくて、それによって何を得られたのか考えることが、自身の成長に繋がる買い物であると感じます。それが無駄の無い買い物であると感じます。

 

以上、"付加価値の心理学"についてでした~

それでは、まったね~!! 

Carpe diem

 References

1) 吉野家公式Webサイト

www.yoshinoya.com

2) 川越敏司, 小川一仁, 佐々木俊一郎 (2014), 実験マクロ経済学, 東洋経済,  p27.

books.google.co.jp

3) 永井孝尚 (2011), 100円のコーラを1000円で売る方法, KADOKAWA/中経出版