"類は友を呼ぶ"の盲点 ~アレニウスの式から学ぶ~
おはよう、こんにちは、こんばんは!!
ダイスケです。
今日は、先日の議論
"類は友を呼ぶ" は本当か?
の続編です。まだ見てない人は前回から見てもらえると嬉しいな!
昨日の議論は簡単にまとめると、、、
- "類は友を呼ぶ"の意味と非属について
- "類は友を呼ぶ"への見解と科学的裏付け
- 化学の視点から見た"類は友を呼ぶ
についてでした。
今回のブログでは、、
- "類は友を呼ぶ"の盲点
- "類"から抜け出すには
- "類=いつも"からの脱出 ~活性化エネルギーの観点より~
についてお話します。それでは早速行ってみよう!!
"類は友を呼ぶ"の盲点について
前回のブログでは、我々は常に"類は友を呼ぶ"について体感しており、日常の至るところに潜んでいることをお話しました。
人間には、自分と似ている人の近くにいると
- 安心する。心が落ち着く。
- 心の底から楽しい。
といった状態になりやすくなる性質が備わっています。つまり、似た者同士で引き合うと、お互いに潜在的なメリットを得られるわけです。似た者同士の間には、何らかの引力が働いているみたい。
しかし、、、
この引力がもたらす弊害があると、私は考えています。その弊害を端的に言うと、、
自身の変化が必要となったときに、その引力は足かせとなる。
ということです。いつもの場所。いつもの仲間。居心地が良いし、確かに楽しいです。でも、その環境に留まり続けていては、成長できなくなる場面が多々あります。その引力が、私たちの成長を抑制するんです。
人類は、次のステージへ向かうために宇宙へ向かいます。そこで大きな足かせとなるのは、"重力"です。人類の次なる進化の為には乗り越えなければ、振りほどかなければならない課題です。
社会心理学で、集団凝集性という概念があります1)。これは集団の構成員を互いに引き付け合う程度で、グループの目的が明確な時には絶大な威力を発揮しますが、一方で集団を誤った方向に導いてしまったり新しいことが生まれにくくなってしまいます。
これは、"習慣の力"ともいえるでしょう。"習慣化"が一度達成されてしまうと、その習慣を無かったことにするには多大な時間とエネルギーを必要とします。ここに、"類は友を呼ぶ"の盲点があるんです。それでは、一度落ち着いてしまった状態から、自分の求める方向へ変化するにはどうすれば良いのでしょうか。
新たな友に呼ばれるためのマインドセット
自分が、
- いつも同じ仲間と会っている
- いつもと変わらないことをしている
そして、、、
- 変化しなければならない
- 変化・成長をしたい
そう感じているのであれば、その願望は達成されたも同然です。何故なら、世の中の大半の人は、"類は友を呼ぶ"の中に埋もれてしまっているのですから。
変化を必要としているということは、まだ見ぬ友が、あなたを呼んでいるということです。では地図も無しに友達と出会いたいとき、あなたはどうしますか?? 今いるところから動き、歩き回って、その友達を探すと思いませんか? 探す視点を変えてみるかもしれません。以上に倣うと
- 自分のいる環境を変えてみる
- 自分の考え方をリセットする
ことが、変化することに必要なことだといえます。すっごく当たり前の事を言ってしまいましたね。でもこれが結構難しいですよね。
まず、自分のいる環境を変えてみる。この環境とは、自分より外側の事を指し、例えば
- 部屋の模様替えをすること
- いつもとは違う道を通ってみること
- 自分の所属する環境を抜け出すこと
などを表します。外界の様子を変化させることで、昨日の自分とは異なる環境に身を置くことになります。そのような変化を積み重ねて、従来の習慣から逸脱するのです。
しかし、以上はあくまでも変化するきっかけ作りにすぎません。本当に達成するべきなのは、2項目の、自分の考え方を変化させることです。自分のマインドセットが変化することこそ、いつもの環境から抜け出し、新たなステージに移ることであると私は信じています。
自分が変わることについて考えているとき、いつも私はある本を思い出します。
生物から見た世界(ユクスキュル/クリサート著)2)
題の通り、
この本では生き物はどのように我々の世界を見ているのか
世界を構成するのはどのような刺激か
について論じた本です。この本から学べることは、所詮、我々人間の見ている世界は、我々の作り出したものに過ぎない、我々は色眼鏡をかけているに過ぎないということです。見ている物事が絶対ではないということです。ここで、私の好きな言葉を、著名な哲学者からお借りします。
There are no facts, only interpretations.
Friedrich Wilhelm Nietzsche
事実というものは存在せず、あるのは解釈のみである。
つまり、
- 自分の見ている世界について洞察を深める
- 自分を見つめ直す時間を取る
- 1人の時間を取る
ということが、結果的に自分を変化させることに繋がるのかもしれませんね。
乗り越えなければならない壁 ~活性化エネルギー~
色々書きすぎましたね。ここで少し休憩して、、、
物理化学の世界では、変化を起こすのに必要なエネルギー(今回の場合いつもから抜け出すエネルギー)というものを求めることが出来るんです。化学反応を起こすには、活性化エネルギーを消費して次のような経過を経る必要があることが知られています3)。(※煩雑性を回避するため単位は省略)
この式を簡単に説明すると、
- Eaが大きいと反応は起こりにくい
- StateAからStateBに移行する化学反応があるとき、StateAの物質は活性化障壁を越えなければならず、超えるのに必要なエネルギーはEaで示される
といった感じです。 化学反応では、よりエネルギー的に安定な方向へ反応が進むことを考えることが多いのでStateA→StateBの向きに座標が設定されています。
ここから読み取れることは、
新しい状態に生まれ変わるには必ず大きなエネルギーを必要とする
ということですね。
終わりに
前回・今回のブログにて、"類は友を呼ぶ"に含まれた様々な教訓から、今の自分に当てはめることで学べることも多いのではないのでしょうか。以上、2回にわたる"類は友を呼ぶ"論議についてでした。
皆さんも、"いつもと同じ"という引力を振り払って、大空へ飛び立ちましょう!!
それでは、またね~
Carpe diem
References
1) 和田秀樹(2011), 「判断力」の磨き方: 常に冷静かつ客観的な選択をする技術 (電子書籍版), 2集団凝集性--集団の「感情」が判断をゆがめる.
2)
- 作者: ユクスキュル,クリサート,Jakob von Uexk¨ull,日高敏隆,羽田節子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 文庫
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3) 卜部𠮷庸(1996), [化学]ⅠB・Ⅱの新研究, p188, 反応速度とアレニウスの式について